死後事務委任とは、亡くなった後の葬儀・役所手続き・住まいの解約・遺品整理などを第三者に任せる契約です。身寄りが少ない時代に必要とされる理由や、できること・できないこと、準備の流れをかながわ終活サポートセンターが分かりやすく解説します。
死後事務委任とは
死後事務委任(しごじむいにん)とは、亡くなった後に必要となる各種手続きを、あらかじめ第三者に依頼しておく契約です。
相続(遺産分割や相続登記)の話と混同されがちですが、死後事務委任は、相続とは別に「亡くなった直後から発生する実務」を支える仕組みだと考えると分かりやすいです。
たとえば、葬儀や火葬、納骨、病院や施設の精算、賃貸住宅の解約、携帯電話や電気・ガスの停止、遺品整理など、やることはたくさんあります。
ご家族がいる場合は家族が動けますが、おひとり様やお子様がいないご夫婦、ご家族が遠方の場合は、手続きが滞ってしまい、結果として「家賃だけが延々とかかる」「部屋の明け渡しが進まない」「必要書類が揃わない」といった困りごとにつながります。

いま、死後事務委任が必要とされる背景
死後事務委任が注目される大きな理由の一つは、一人暮らしの高齢者が増えていることです。
厚生労働省「国民生活基礎調査(2024年)」では、高齢者世帯の世帯構造として、単独世帯(=高齢者の一人暮らしに近い世帯)が903万1千世帯、構成比52.5%と示されています。つまり、高齢者世帯の“半分以上”が単独世帯です。
さらに将来推計では、単身世帯は今後も増加が見込まれ、関連資料では、世帯主65歳以上の単身世帯の割合が2020年35.2%→2050年45.1%へ上昇すると示されています。
内閣府の資料でも、65歳以上の一人暮らしは2040年に約896万人へ増える見込みが示されています。
こうした状況の中で、「家族がいる前提」のままでは回らない場面が増えています。死後事務委任は、まさにこの変化に対応する現実的な備えとなっているのです。
死後事務委任で依頼できること
死後に必要な実務は多岐にわたります。契約内容によって範囲は変わりますが、一般的には次のような項目が中心です。
葬儀・火葬・納骨の手配
どの形式の葬儀にするか、宗教者の手配、火葬の予約、納骨先(永代供養・樹木葬・海洋散骨など)をどうするか。
「希望があるのに、家族が分からないまま進んでしまう」ことによって本人の意思とは違ってしまうことを防げます。
役所・関係機関への各種連絡のサポート
死亡後には役所手続きが発生します。
実務では、委任者本人ができないため、委任先(受任者)が「どこへ」「何を」提出するか、関係者の動き方を整えることが重要です。
身寄りがない方への入院・意思決定支援に関する厚労省のガイドラインでも、本人の意思の尊重と支援体制の整備が重要であることが示されています。
住まいの整理(賃貸の解約・明け渡し等)
賃貸の場合、死亡後も解約・明け渡しができないと家賃が発生し続けます。
鍵の返却や原状回復、管理会社との連絡など、具体的な段取りを契約で決めておくことが大切です。
公共料金・契約サービスの解約
電気・ガス・水道、携帯電話、インターネット、サブスク、クレジットカード関連など。
「停止の連絡ができない」「IDやパスワードが分からない」問題が起きがちなので、事前整理が効果的です。
遺品整理の手配
遺品整理は、心の負担も体力も使います。
頼れる家族がいない場合、死後事務委任に含めることで、放置やトラブルを防げます。

逆に「死後事務委任ではできないこと」
ここがとても重要です。死後事務委任は万能ではありません。
相続そのもの(遺産分割・相続登記など)
相続は法律上の手続きで、遺言や相続人の権利関係が中心になります。
死後事務委任は「実務」寄りで、相続手続きとは別の整理が必要です。
医療の同意や意思決定の“代わり”
終末期医療の意思決定は、本人の意思確認・支援体制が重要になります。
身寄りがない人への入院・医療意思決定支援のために、厚労省がガイドラインや事例集を公開しています。
死後事務委任は「亡くなった後」が中心なので、医療面は「事前の意思表示(エンディングノート等)」や、必要に応じて別制度の検討が現実的です。
失敗しないための準備(契約前にやること)
1)「何をしてほしいか」を文章で可視化する
希望する葬儀の形式、費用の上限、納骨先、連絡してほしい人、遺品の扱いなどを整理します。
ここが曖昧だと、受任者も動けず、結局「希望通りにならない」原因になります。
2)必要書類・連絡先をまとめる
保険証券、年金関係、賃貸契約書、通帳、印鑑、スマホ契約、各種IDなど。
“どこに何があるか”だけでも分かる状態にしておくと、死後の負担が激減します。
3)費用の準備(預託金など)
死後の支払いは、葬儀・火葬・納骨・住まい・遺品整理などが重なります。
契約の設計上、預託金の考え方が出てくるケースもあります(自治体の終活支援事業でも、預託金を預かり死後事務を実施する仕組みが紹介されています)。

湘南で「死後事務委任」を相談したい方へ
一般社団法人かながわ終活サポートセンターでは、おひとり様・おふたり様向けに身元保証や死後事務委任の相談を受け付けています。
「自分の場合は何を契約に入れるべき?」「身元保証も必要?」など、その方の置かれている状況や希望によって答えが変わります。まずは一度、相談から始めてみてはいかがでしょうか。