海に向かって手を合わせる — 神奈川で考える「海洋散骨」の基礎知識

2025.09.18
散骨

はじめに

葉山の沖で波に揺れる花びら、江の島が遠くに霞む相模湾。海とともに生きてきた神奈川では、「最後は海へ」という願いを耳にすることが増えました。けれど、初めて調べると法律は?マナーは?どこで?と不安もたくさん。ここでは、最初の一歩に必要なことだけを、やさしくまとめます。

法律について

まず大切なのは「法的な位置づけ」です。日本には散骨を直接規制する法律はなく、「葬送の一環として、節度をもって行われる限り違法ではない」とする解釈が実務上広く共有されています。他方、政府が公式に細かな全国統一ルールを設けているわけではない点も押さえておきましょう。地方自治・実務の研究では「公式文書としての政府見解は存在しないが、節度ある散骨は違法でないとの整理が広まっている」と明確に指摘されています。

body of water under blue and white sky at daytime

具体的な流れ

次に「どうやって行うのか」。業界団体である日本海洋散骨協会は、遺骨を“遺骨と分からない程度”に粉末化してから散骨することをガイドラインで義務づけています。多くの事業者は目安として1~2mm程度まで粉骨します。遺骨と分からない形状にするのは、周囲の方々への配慮とトラブル予防のためです。

「どこで行うのか」については、航路や漁場、海水浴場など人の利用が多い沿岸部を避け、沖合で静かに行うのが基本。事業者の案内では“陸地から約1海里以上の沖合”といった目安を掲げる例もあります。ちなみに1海里は1,852メートル。海では距離表現にこの単位が広く使われます。

神奈川らしさで言えば、相模湾はうねりや風向きが日によって変わる海。葉山~逗子~鎌倉~江の島の沿岸はマリンレジャーも盛んで、季節・時間帯によって利用が集中します。散骨は自然や他の利用者への配慮が最優先。漁業権が設定された海域や繁忙期の近接海岸を避け、花びらや水溶性の紙など自然に還るものを使うのが安心です(こうした配慮は協会ガイドラインでも強調されています)。

最後に

手順は難しくありません。事前の粉骨・日程調整、当日は乗船・黙礼・献花・献酒・撒布・黙とう、という穏やかな流れです。神奈川の海は季節によって表情が変わるため、春と秋の午前は比較的凪ぎやすく、お別れの時間を取りやすいことが多い印象です。私たちのセンターでは、地元の海の事情やマナーも含め、心穏やかに送り出せるよう準備から当日運営までをお手伝いします。

一般社団法人かながわ終活サポートセンター代表の関口です。終活全般のお悩みにお答えいたします。

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