逗子郵便局向かいで仏具店「佛縁堂あみりと」を運営しております、関口と申します。
近年、「墓じまい」という言葉を耳にする機会が増えたと感じている方も多いのではないでしょうか。今回は、墓じまいが増えている背景から、実際の流れ、費用、そしてトラブルを避けるための大切なポイントまで、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思います。
墓じまいが急増している理由
厚生労働省が公表している「衛生行政報告例」によると、墓じまいの件数はこの10年で約2倍に増加しています。特に2022年前後から急激に増えており、その背景にはコロナ禍の影響があると考えられています。
・人が集まる法要を控えるようになった
・遠方への移動が難しくなった
・「この先もお墓を守り続けられるのだろうか」と考える時間が増えた
こうした状況が、人々の意識を大きく変えたのではないでしょうか。ただし、ここで強くお伝えしたいのは、墓じまいを推奨するための話ではないということです。ご先祖様を敬い、手を合わせる時間は、残されたご家族にとってかけがえのないものです。その価値は、今も昔も変わりません。
一方で、現代の暮らしの中で、先祖代々のお墓を維持管理し続けることが難しくなっているのも事実です。悩まれている方が多いからこそ、選択肢の一つとして知っていただきたい、という思いでお話します。

墓じまいの基本的な流れ
墓じまいで大切なのは、順序を守ることです。
まず最初に必要なのは、ご家族・ご親族への相談と理解を得ることです。「長男だから」「自分が継いでいるから」と一人で決めてしまうと、後々トラブルになるケースが少なくありません。必ず皆さんで話し合いましょう。
次に、お墓の使用契約内容や管理費の支払い状況を確認します。長年請求が来ていなかったことで未払いが続き、後からまとめて請求されるケースもあります。ここを確認することで、今後の選択肢も見えてきます。
その後、お墓の管理者への説明と理解を得る段階に入ります。寺院墓地であればご住職様、霊園であれば管理事務所です。ここが最も重要なポイントで、後ほど詳しく触れます。
並行して、御遺骨の次の納骨先や供養方法を決めます。
永代供養墓、納骨堂、海洋散骨など、事前に方向性を決めておく必要があります。そして、お墓のある市区町村役所で「改葬許可証」を取得します。この申請書には、次の納骨先や供養方法を記入する欄があるため、事前に決めておくことが欠かせません。
最後に、遺骨の取り出しや墓石撤去を依頼する石材店を決めます。
多くの場合、寺院や霊園には出入りしている石材店が決まっており、外部の業者を勝手に入れることはできません。必ず管理者に紹介してもらい、見積もりを取るようにしましょう。
墓じまいにかかる費用の目安
費用で大きな割合を占めるのが、お墓の撤去費用です。
横須賀・三浦半島エリアでは、1㎡あたり10万〜15万円程度が目安とされています。ただし、お墓が高台にある、重機が入れない、通路が狭いといった場合は、人件費が増え、追加費用が発生することもあります。また、閉眼供養(魂抜き)を行う場合は、2万円〜10万円程度が一般的です。これはお寺様によって異なります。
近年話題になることが多いのが「離檀料」です。
これは菩提寺にお墓がある場合に発生することがあり、金額や考え方はご住職様によって大きく異なります。
受け取らないお寺様もあれば、目安額を示される場合もありますので、事前確認が大切です。

トラブルを防ぐために最も大切なこと
報道で見かける墓じまいトラブルの多くは、この離檀料を巡るものです。
高額な金額を請求された、という極端な事例もありますが、これはごく一部です。大切なのは、住職様への伝え方で、いきなり「墓じまいします」「離檀します」と切り出すのはおすすめできません。ご住職様も一人の人間ですし、お寺や檀家、ご先祖様を守るという誇りを持っておられます。買った商品を返品することとは全く異なる性質のものです。
私どもでは、半年から1年ほどかけて、段階的に話を進めることをおすすめしています。
・まずは法事の際などに、将来の悩みとして相談する
・数回に分けて家族状況や不安を伝える
・最終的に具体的な検討に入る
人と人との関係だからこそ、丁寧なコミュニケーションが、結果的にトラブルを防ぎます。
墓じまい後のご供養の選択肢
墓じまい後の供養方法は、大きく分けて二つあります。一つは、永代供養墓など、管理を寺院や霊園に任せる方法です。子や孫の世代に負担をかけず、後継者がいない方でも安心できる供養方法として選ばれています。もう一つは、海洋散骨に代表される自然葬です。海や山へ還るという考え方で、自然志向の方を中心に選ばれています。
一人で悩まず、専門家を頼るという選択
「手続きが難しい」「お墓が遠方にある」「お寺との話し合いが進まない」こうした場合、墓じまい専門の行政書士が間に入ることで、スムーズに進むこともあります。私どもでも、必要に応じて専門家をご紹介していますので、お困りの際はご相談ください。
最後に
改めてお伝えしますが、墓じまいは決して「ご先祖様をないがしろにする行為」ではありません。多くの方が、「子どもや孫に負担をかけたくない」「自分の代で整理したい」という思いで悩み、決断されています。お墓のことで負担を感じ、モヤモヤし続けることはご先祖様も望んでいないはずです。
できるときに、できることを考える。そのための判断材料を、少しでもご提供できたらと考えております。
一般社団法人かながわ終活サポートセンターは各分野で活動する地域密着の専門家たちが集まり、終活にまつわる情報を発信しています。気になるテーマや知りたいことなどありましたら、お気軽にお問い合わせください。講演会や個別相談会も随時行っておりますので、ご自身の終活に役立てていただければ幸いです。
